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インプラント治療のメリット・デメリット完全比較ガイド

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歯を失ってしまった時、どのような治療法を選ぶべきか悩まれる方は多いでしょう。特にインプラント治療は、他の治療法と比較してどのような特徴があるのでしょうか。

この記事では、インプラント治療のメリットとデメリットを詳しく解説し、入れ歯やブリッジなど他の治療法との比較を行います。患者様が自分に最適な選択ができるよう、専門的な視点からわかりやすく説明していきます。

長年インプラント治療に携わってきた歯科医師として、患者様が後悔しない選択をするための情報をお届けします。

インプラント治療とは?基本的な仕組みと特徴

インプラント治療は、失った歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。

インプラントは主に3つの部分から構成されています。まず顎の骨に埋め込む「インプラント体」、その上に取り付ける「アバットメント」、そして見た目の歯となる「上部構造(人工歯)」です。

インプラント体には主にチタン製のものが使用されます。チタンは生体親和性が高く、骨と直接結合する「オッセオインテグレーション」という特性を持っています。この特性により、天然の歯の根のように強固に顎の骨と結合するのです。

上部構造には、セラミックやジルコニアなどの素材が使用されることが多く、見た目も天然歯に近い美しさを実現できます。

では、このインプラント治療にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

インプラント治療の適応条件

インプラント治療は万人に適しているわけではありません。適応条件として、十分な骨の量と質が必要です。また、全身疾患(特に重度の糖尿病など)がある場合や、喫煙習慣がある方は、治療の成功率に影響する可能性があります。

当院では、CT検査を行い、骨の状態を詳細に確認した上で治療計画を立てています。骨の量が不足している場合でも、骨造成術(サイナスリフトやソケットリフトなど)を併用することで、インプラント治療が可能になるケースも多くあります。

あなたの口腔内の状態に合わせた最適な治療法を提案するために、まずは詳しい検査と診断が必要です。

インプラント治療の5つの主要メリット

インプラント治療には、他の治療法にはない多くのメリットがあります。特に重要な5つのメリットを詳しく解説します。

1. 自分の歯のような噛み心地と機能性

インプラントの最大の魅力は、天然歯に近い噛み心地を得られることです。顎の骨にしっかりと固定されるため、入れ歯のようなズレや違和感がなく、硬いものでも安心して噛むことができます。

実際、インプラントの咬合力(噛む力)は天然歯の80〜90%程度まで回復すると言われています。一方、入れ歯の場合は天然歯の20〜30%程度にとどまることが多いのです。

食事を美味しく楽しめることは、生活の質を大きく向上させます。患者様からは「久しぶりにリンゴを丸かじりできた」「ステーキをしっかり噛めるようになった」といった喜びの声をよく聞きます。

2. 周囲の健康な歯を守れる

インプラント治療の大きなメリットの一つは、周囲の健康な歯を削る必要がないことです。

ブリッジ治療では、欠損部の両隣の健康な歯を削って支台とする必要があります。これにより、本来健康だった歯にも負担をかけることになります。一方、インプラントは欠損部のみを治療するため、他の歯への影響がほとんどありません。むしろ、失っていた部分の支えとして機能することで残存天然歯の負担を軽減することができます。

 

長期的な口腔内の健康を考えると、健康な歯を保存できることは非常に重要なポイントです。一度削った歯は元には戻りません。将来的な虫歯や歯周病のリスクを考慮すると、健康な歯を守ることの価値は計り知れません。

3. 顎の骨を維持できる

歯を失うと、その部分の顎の骨は徐々に痩せていきます。これは、歯根からの刺激がなくなることで骨の代謝が低下するためです。

インプラントは人工歯根として顎の骨に埋め込まれるため、噛む力が骨に伝わり、骨の代謝を活性化します。これにより、顎の骨の吸収を防ぎ、顔の形態を維持することができるのです。

特に前歯部のインプラントでは、この効果が顔の印象に大きく影響します。骨が痩せると口元が凹んだ印象になりますが、インプラントによって自然な口元の形態を保つことができます。

4. 審美性に優れている

インプラントの上部構造には、セラミックやジルコニアなどの高品質な材料を使用できます。これにより、天然歯と見分けがつかないほどの美しさを実現できるのです。

特に前歯部のインプラントでは、色調や形態を周囲の天然歯に合わせて製作することで、自然な笑顔を取り戻すことができます。

保険適用の入れ歯では金属のバネが見えることがありますが、インプラントではそのような心配はありません。人前で笑うことに自信が持てるようになったという患者様は数多くいらっしゃいます。

5. 長期的な安定性と耐久性

適切に管理されたインプラントは、非常に高い長期安定性を示します。研究によれば、10年以上の生存率が95%以上というデータもあります。

もちろん、インプラントの寿命は患者様のお口の状態やメンテナンスの状況によって変わります。定期的なメンテナンスを受けることで、長期間にわたって機能を維持することが可能です。

入れ歯やブリッジも定期的な調整や交換が必要ですが、インプラントは一度骨と結合すれば、適切なケアを続けることで長期間使用できる可能性が高いのです。

インプラント治療の4つの主要デメリット

インプラント治療には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。治療を検討する際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

1. 外科手術が必要

インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込むための外科手術が必要です。局所麻酔を使用するため痛みは抑えられますが、手術後には腫れや痛み、出血などが生じることがあります。

当院では、最新の手術技術と適切な麻酔管理により、患者様の負担を最小限に抑える努力をしています。また、術後の痛みや腫れを軽減するための薬も処方しています。

手術に不安を感じる方も多いですが、事前の十分な説明と適切な対応により、安心して治療を受けていただけるよう配慮しています。

2. 治療期間が比較的長い

インプラント治療は、一般的に数ヶ月から1年程度の期間を要します。これは、インプラント体が顎の骨としっかり結合(オッセオインテグレーション)するまでに時間が必要だからです。

標準的な治療の流れとしては、インプラント体の埋入後、3〜6ヶ月の治癒期間を経て、上部構造を装着します。骨造成が必要な場合は、さらに時間がかかることもあります。

入れ歯やブリッジであれば、数週間から数ヶ月で治療が完了することが多いため、すぐに歯の機能を回復したい方にとっては、インプラントの治療期間の長さがデメリットとなることがあります。

3. 費用が比較的高額

インプラント治療は、基本的に保険適用外の自由診療となるため、他の治療法と比べて費用が高額になります。

1本あたりの費用は、使用するインプラントのメーカーや上部構造の材質、必要な追加処置(骨造成など)によって異なりますが、一般的には30万円〜50万円程度が相場です。

ただし、長期的な視点で見ると、メンテナンス性の高さや周囲の歯への影響の少なさから、結果的にコストパフォーマンスが良いと考えることもできます。当院では、患者様の予算に合わせた治療計画のご提案も行っています。

4. メンテナンスが重要

インプラントは、適切なケアを行わないと「インプラント周囲炎」という炎症を起こすリスクがあります。これは歯周病に似た症状で、放置するとインプラントの脱落につながることもあります。

天然歯と同様に、毎日の丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診が欠かせません。特に、インプラント特有の清掃方法があるため、歯科医院での専門的なクリーニングと指導を受けることが重要です。

当院では、インプラント治療後のメンテナンスプログラムを用意しており、長期的な成功をサポートしています。定期的なメンテナンスを受けることで、インプラントを長く快適に使い続けることができるのです。

インプラントと他の治療法の比較

歯を失った場合の治療法には、インプラント以外にも入れ歯(義歯)やブリッジがあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

インプラントvs入れ歯(義歯)

入れ歯は取り外しが可能な補綴物で、保険適用の治療が多いため費用面でのハードルが低いのが特徴です。しかし、以下のような違いがあります。

咬合力(噛む力):インプラントは天然歯の80〜90%程度の咬合力があるのに対し、入れ歯は20〜30%程度にとどまることが多いです。

安定性:インプラントは顎の骨に固定されるため安定していますが、入れ歯は動いたり外れたりすることがあります。

装着感:インプラントは天然歯に近い感覚で使用できますが、入れ歯は異物感を感じることが多いです。

お手入れ:インプラントは天然歯と同様のブラッシングが基本ですが、入れ歯は取り外して専用の洗浄剤で洗浄する必要があります。

顎の骨への影響:インプラントは顎の骨の吸収を防ぎますが、入れ歯では骨の吸収が進行することがあります。

インプラントvsブリッジ

ブリッジは、欠損部の両隣の歯を支台として固定式の補綴物を装着する治療法です。インプラントとの主な違いは以下の通りです。

健康な歯への影響:ブリッジでは両隣の健康な歯を削る必要がありますが、インプラントでは周囲の歯を削る必要がありません。

治療期間:ブリッジは比較的短期間(2〜4週間程度)で治療が完了しますが、インプラントは数ヶ月から1年程度かかります。

費用:ブリッジは保険適用の場合もあり、インプラントよりも費用が抑えられることが多いです。

耐久性:適切なケアを行えば、インプラントの方が長期的な耐久性に優れていることが多いです。ブリッジは支台歯に負担がかかるため、将来的に問題が生じるリスクがあります。

顎の骨への影響:インプラントは顎の骨の吸収を防ぎますが、ブリッジでは欠損部の骨が徐々に吸収していくことがあります。

どの治療法が最適かは、患者様のお口の状態や予算、希望する機能性や審美性によって異なります。当院では、それぞれのメリット・デメリットを詳しく説明した上で、患者様に最適な治療法をご提案しています。

インプラント治療の流れと期間

インプラント治療は複数のステップに分かれており、全体の流れを理解しておくことで、安心して治療に臨むことができます。一般的な治療の流れは以下の通りです。

1. 初診・検査・診断

まずは詳細な検査を行い、インプラント治療が可能かどうかを診断します。レントゲン撮影やCT検査により、骨の量や質、神経や血管の位置などを確認します。

当院では、3D画像による精密な診断を行い、安全で確実な治療計画を立てています。また、全身の健康状態も確認し、インプラント治療に影響を与える可能性のある疾患がないかチェックします。

2. 治療計画の立案・説明

検査結果をもとに、最適な治療計画を立案します。インプラントの本数や位置、必要な前処置(抜歯や骨造成など)、治療期間、費用などについて詳しく説明します。

患者様の疑問や不安にしっかりとお答えし、納得いただいた上で治療を進めていきます。治療計画は患者様の希望や予算に合わせて調整することも可能です。

3. インプラント埋入手術

局所麻酔を行い、歯肉を切開して顎の骨を露出させ、インプラント体を埋め込みます。手術時間は1本あたり30分〜1時間程度が一般的です。

骨の状態によっては、骨造成(サイナスリフトやソケットリフトなど)を同時に行うこともあります。手術後は抗生物質や鎮痛剤を処方し、腫れや痛みのケアを行います。

4. 治癒期間(オッセオインテグレーション)

インプラント体と顎の骨がしっかりと結合するまで、3〜6ヶ月程度の治癒期間を設けます。この期間は、インプラントの長期的な安定性を確保するために非常に重要です。

治癒期間中は、必要に応じて仮歯を装着することもできます。特に前歯部など見た目が気になる部位では、審美性を考慮した仮歯を提供しています。

5. 上部構造(人工歯)の装着

インプラント体と骨の結合が確認できたら、アバットメントを取り付け、最終的な上部構造(人工歯)を装着します。上部構造は、色や形を周囲の天然歯に合わせて製作します。

装着後は咬み合わせの調整を行い、違和感なく使用できるようにします。また、適切なブラッシング方法や日常のケア方法についても指導します。

6. メンテナンス

インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが非常に重要です。3〜6ヶ月ごとの定期検診で、インプラント周囲の状態や咬み合わせをチェックし、専門的なクリーニングを行います。

適切なメンテナンスを続けることで、インプラントを長期間にわたって健康に保つことができます。当院では、患者様一人ひとりに合わせたメンテナンスプログラムを提供しています。

まとめ:あなたに最適な選択をするために

インプラント治療には、自然な噛み心地や審美性、周囲の歯への影響の少なさなど、多くのメリットがあります。一方で、外科手術が必要なことや治療期間の長さ、費用の高さなどのデメリットも存在します。

どの治療法が最適かは、患者様のお口の状態や全身の健康状態、ライフスタイル、予算など、様々な要素を総合的に考慮する必要があります。

当院では、患者様一人ひとりの状況に合わせた最適な治療法をご提案しています。インプラント治療に関するご質問や不安な点があれば、遠慮なくご相談ください。

歯を失っても、適切な治療によって自然な笑顔と快適な咀嚼機能を取り戻すことができます。患者様の「幸福医療」のために、私たちは最善の治療をご提供いたします。

詳しい情報や無料カウンセリングのご予約は、間瀬デンタルクリニック公式サイトをご覧ください。皆様のお口の健康と笑顔のために、専門的な知識と技術で全力でサポートいたします。

監修医師情報

医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック

院長 間瀬 慎一郎

【経歴】

  • 千葉県立木更津高校 卒業
  • 日本大学松戸歯学部 卒業
  • 日本大学松戸歯学部付属病院 歯科臨床研修 修了
  • 医療法人社団翆聖会 パール歯科医院 佐野 勤務
  • 間瀬歯科医院 勤務
  • 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック設立 理事就任
  • 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック 院長就任

【所属】

  • 日本歯科医師会会員
  • 千葉県歯科医師会会員
  • 千葉県保険医協会会員
  • 千葉県歯科医師会認定口腔がん検診医
  • 君津木更津歯科医師会会員 委嘱富津市医
  • 富津市立大貫小学校 学校歯科医
  • 学校法人富津学園 明澄幼稚園 園医
  • 東京医科歯科大学歯周病科 研修登録医
  • 岩手医科大学補綴・インプラント学講座研修生
  • 介護認定審査会 委員

【学会・研究会】

  • 日本歯周病学会会員
  • 日本口腔インプラント学会会員
  • 日本顎咬合学会会員
  • 日本アンチエイジング歯科学科会員
  • 点滴療法研究会会員
  • スタディグループJIADSclub研究会会員

【認定資格】

  • 厚労省指定 歯科医師臨床研修指導歯科医師
  • 日本歯周病学会 認定医
  • 日本顎咬合学会 かみ合わせ認定医
  • 日本アンチエイジング歯科学会 認定医
  • 点滴療法研究会 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
  • ガイドデント認定会員
  • JAOS 第二種歯科感染管理者
  • AHA BLSヘルスケアプロバイダー
  • smileTRU 認定医
  • 日本糖尿病協会 登録歯科医

【CERTIFICATE・講習会参加履歴】

  • JIADS歯周病コース 修了
  • JIADSインプラントコース 修了
  • JIADS歯内療法コース 修了
  • JIADS補綴コース 修了
  • ハーバード大学・岩手医科大学合同インプラントコース inボストン 修了
  • ハーバード大学・岩手医科大学合同包括歯科医療コース 修了
  • ハーバード大学 CE コース for Japan 特別講義
  • 目白臨床歯周病研究会 ペリオコース 修了
  • Microscopic Dentistry Training course in デンタルみつはし 修了
  • アンカースクリュー矯正(インプラント矯正)実習コース 修了
  • 一般臨床家矯正基礎実習6カ月コース 修了
  • 医療安全管理研修 修了
  • 学際企画セミナー 受講多数
  • 在宅医療を行う歯科医師等育成研修会 修了
  • 第27期SBC(Surgical Basic Course)歯周形成外科コース 修了
  • 点滴療法研究会 ベーシックセミナー 受講
  • 東京医科歯科大学CDE(歯周病・歯内療法・補綴ほか受講多数)
  • 日本歯科医師会 生涯研修事業 修了
  • AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース 修了
  • AII 骨造成を成功させるためのインプラント外科実習コース 修了
  • CDAC よくわかる実践的歯科麻酔学 受講
  • What’s New-Updated COVID-19 Guidelines for Dentists: Myth vs. Fact 修了
  • 歯周組織再生療法コース エムドゲイン CERTIFICATE
  • KENTEC アルファタイトインプラント CERTIFICATE
  • Nobel Biocareインプラント CERTIFICATE
  • straumannインプラント CERTIFICATE
  • シロナ セレック ベーシックコース 修了
  • シロナ セレック ステインハンズオンコース 修了
  • その他 学会参加・受講セミナー多数