インプラント担当医と歯科医院の選び方5つのポイント
インプラントブログ

インプラント治療を検討されている方にとって、「どの歯科医院で」「どの歯科医師に」治療を任せるかは非常に重要な選択です。インプラント治療は一度行うと長期にわたって使用するものであり、その成功は担当医の技術や知識に大きく左右されます。
私は日本歯周病学会認定医として、また日本口腔インプラント学会会員として、多くのインプラント治療に携わってきました。その経験から、安全で長持ちする、失敗しないインプラント担当医・歯科医院選びのポイントをお伝えします。
インプラント担当医と歯科医院を選ぶ重要性

インプラント治療は、歯科医師であれば誰でも行える治療です。しかし、その専門性の高さから、医師によって技術や知識に大きな差があるのが現実です。
なぜインプラント担当医選びが重要なのか、まずはその理由を3つご説明します。
まず第一に、すべての歯科医院がインプラント治療に対応しているわけではありません。インプラントは保険適用外の自費診療となるため、積極的に取り組んでいる医院とそうでない医院があります。中には全く行っていない歯科医院もあるのです。
第二に、インプラント治療には専門的な知識と経験が必要です。インプラント埋入時のわずか数ミリの誤差が、治療後の経過を大きく左右することがあります。専門的な知識や十分な経験がなければ、トラブルのリスクが高まってしまいます。
自分の体に人工物を埋め込む手術ですから、経験と知識のある歯科医師に任せたいですよね。
第三に、インプラントは寿命が長く、担当医との付き合いも長期になる点が挙げられます。ブリッジの寿命が約7〜8年、入れ歯が約4〜5年であるのに対し、インプラントは適切なケアを行えば10年以上、場合によっては一生使えることもあります。
そのため、長期的な視点で信頼できる歯科医院を選ぶことが非常に重要なのです。
歯科医院を見極める5つのポイント
では具体的に、どのようにして信頼できる歯科医院を見極めればよいのでしょうか。私の経験から、特に重視すべき5つのポイントをご紹介します。
1. 丁寧なカウンセリングと問診を行っているか
優れたインプラント担当医は、術前診断と治療計画立案に時間をかけます。
治療前に十分な時間をかけてカウンセリングと問診を行います。これは単なる形式ではなく、患者様の口腔内状況や全身の健康状態、生活習慣などを総合的に把握するための重要なプロセスです。
良質なカウンセリングでは、以下のような点が確認されます:
- 現在の口腔内状態の詳細な説明
- 全身疾患の有無(糖尿病や骨粗しょう症などはインプラント治療に影響します)
- 服用中の薬の確認
- 喫煙習慣の有無
- 患者様の希望や不安点の丁寧な聞き取り
当クリニックでは、患者様の声をしっかりとお聴きし、ご要望を理解するための時間を大切にしています。当院では専門のカウンセラーが個室で落ち着いてお話を伺い、それを踏まえた上で適切な診査・診断を行っています。
2. 治療費や治療期間の説明が明確か
インプラント治療は高額な自費診療です。信頼できる歯科医師は、治療費の内訳や支払い方法、治療期間などについて明確に説明します。
具体的には以下のような情報が事前に提供されるべきです:
- インプラント本体の費用
- 上部構造(人工歯)の費用
- 必要に応じた骨造成などの追加処置の費用
- 治療予後とメンテナンスの必要性
- アフターケア・保証内容
- 治療全体の期間と通院回数の目安
- 術後の腫れなどの侵襲について
- 手術に伴うリスクの説明
「後から追加費用が発生した」というトラブルを避けるためにも、これらの説明が明確かどうかは重要なチェックポイントです。
当院では「トリートメントコーディネーター」の研修を受けた専任カウンセラーが、患者様のご要望を十分にお聞きした上で、ご希望に沿った治療プランと費用を明確にご提案しています。
3. 口腔内全体を診る総合的な視点があるか
インプラント治療は単に失った歯を補うだけではなく、口腔内全体のバランスを考慮する必要があります。優れた専門医は、インプラントを入れる部分だけでなく、残っている歯の状態や噛み合わせ、顎の骨の状態など、口腔内全体を総合的に診断します。
特に以下のような点に注意を払っているかどうかが重要です:
- 歯周病の有無とその治療計画
- 噛み合わせのバランス
- 顎の骨の量と質の評価
- 残存歯の状態と将来的な治療計画
インプラント治療の前に歯周病治療が必要な場合もあります。歯周病菌はインプラント周囲炎の原因となり、インプラントの寿命を縮める可能性があるからです。
私は日本歯周病学会認定医として、インプラント治療の前提となる歯周環境の整備を特に重視しています。当院では歯周病治療と予防に特に力を入れており、インプラント治療についても口腔内全体の健康を考慮した総合的なアプローチで行っています。
4. 専門的な資格や継続的な研修を受けているか
インプラント治療の技術や材料は日々進化しています。優れた歯科医師は、常に最新の知識と技術を学び続けているものです。
特に注目すべき資格や所属学会には以下のようなものがあります:
- 日本口腔インプラント学会の専門医・指導医
- 国際口腔インプラント学会の認定医
- 日本歯周病学会の認定医・専門医・指導医
- 定期的な学会参加や研修受講の実績
これらの資格は、一定水準以上の知識と技術を持っていることの証明になります。特に日本口腔インプラント学会の専門医は、全国でも限られた人数しかいない貴重な資格です。
私自身も日本歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会会員として、常に最新の知見を学び続けています。また、ハーバード大学・岩手医科大学合同インプラントコースやJIADSインプラントコースなど、国内外の研修を修了し、技術の研鑽に努めています。
5. 設備や衛生管理が整っているか
インプラント治療は外科手術です。安全な手術環境と適切な設備が整っているかどうかは非常に重要なポイントです。
チェックすべき設備や環境には以下のようなものがあります:
- CT撮影装置(顎の骨の状態を3次元的に把握するために必須)
- 清潔な手術室または専用の治療スペース
- 滅菌システムの充実度
- 感染対策の徹底
特にCT撮影装置は、神経や血管の位置を正確に把握し、安全な手術を行うために欠かせない設備です。これがない医院では、十分な事前診断ができない可能性があります。
当院では歯科用CTをはじめとする最新設備を完備し、徹底した滅菌・消毒体制を整えています。治療器具は個別に滅菌・包装し、院内感染対策に万全を期しています。
インプラント治療の失敗例とその原因
インプラント治療は高い成功率を誇りますが、残念ながら失敗例も存在します。専門医選びの重要性をさらに理解していただくために、主な失敗例とその原因についてご説明します。
インプラントが固定されない・脱落する
インプラント治療の代表的な失敗例として、インプラントが骨と結合せず、固定されない、あるいは脱落するケースがあります。
主な原因としては以下のようなものが考えられます:
- インプラントの位置や角度、深さが不適切
- 骨の量や質が不足している状態での無理な埋入
- 術中のドリリングによる骨へのダメージ
- 術後の感染(インプラント周囲炎)
- インプラント体の破折
これらの失敗を防ぐには、事前の精密な検査と診断、適切な手術計画、そして確かな手術技術が必要です。特に骨の状態が良くない場合は、骨造成などの追加処置が必要になることもあります。
経験豊富な歯科医師であれば、このようなリスクを事前に評価し、適切な対策を講じることができます。
痛みや腫れ、しびれが長期間続く
インプラント手術後は一時的な痛みや腫れが生じますが、通常は〜1週間以内程度で落ち着きます。しかし、これらの症状が長期間続くケースもあります。
主な原因としては:
- 神経を損傷してしまった
- インプラントの位置が不適切
- 感染が生じている
特に下顎の奥歯部分へのインプラント埋入では、下歯槽神経を損傷するリスクがあります。これを防ぐためには、CTによる詳細な診断と正確な手術計画が不可欠です。
当院では、全症例でCTを用いた精密な診断を行い、神経や血管の位置を正確に把握した上で手術計画を立てています。また、必要に応じて静脈内鎮静法(うたた寝麻酔)も活用し、患者様の負担を軽減しています。
インプラント周囲炎の発生
インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯肉や骨に炎症が生じる状態で、放置するとインプラントの脱落につながる恐れがあります。
主な原因としては:
- 不十分な口腔衛生管理
- 歯周病の未治療・再発
- 不適切な噛み合わせ
- 喫煙
インプラント周囲炎を予防するためには、定期的なメンテナンスが非常に重要です。これらについても詳しく説明し、定期検診の重要性を強調するはずです。
当院では、インプラント治療後も定期的なメンテナンスを推奨しており、インプラント学会で専門的知識と、専門的分野での経験を身につけた歯科衛生士による患者担当制で、長期的な口腔健康管理をサポートしています。
インプラント担当医を探す具体的な方法

では、実際にどのようにして良質なインプラント専門医や歯科医院を探せばよいのでしょうか。いくつかの具体的な方法をご紹介します。
学会のウェブサイトで専門医を検索する
日本口腔インプラント学会のウェブサイトでは、認定を受けた専門医・指導医を検索することができます。これは信頼性の高い専門医を探す最も確実な方法の一つです。
学会認定の専門医は、一定水準以上の知識と技術を持っていることが保証されています。特に日本口腔インプラント学会の専門医は、厳しい審査を経て認定されており、高い信頼性があります。
複数の医院で相談を受ける
インプラント治療は高額な治療です。一つの医院だけでなく、複数の医院でカウンセリングを受け、比較検討することをお勧めします。
その際、以下のような点を比較するとよいでしょう:
- 説明の丁寧さと分かりやすさ
- 質問への回答の具体性
- 治療計画の妥当性
- 費用の透明性
- アフターケアや保証内容
複数の医院を比較することで、より自分に合った専門医を見つけることができます。
実績や症例数を確認する
経験豊富な専門医ほど、多くの症例を経験しています。医院のウェブサイトや初診時のカウンセリングで、これまでの実績や症例数について質問してみるとよいでしょう。
特に自分と似たような症例の実績があるかどうかは重要なポイントです。例えば、骨が少ない場合の骨造成を伴うインプラント治療や、全顎的なインプラント治療など、複雑なケースの実績があるかどうかを確認しましょう。
当院では、骨の厚みや形状、神経の位置まで正確に把握できる歯科用CTを用いて、安全性と精度を両立した治療計画を立てています。特に「骨が少ない」「神経が近い」などの理由で他院で断られた難症例にも積極的に対応しています。
まとめ:インプラント歯科医院選びの5つのポイント
最後に、失敗しないインプラント専門医選びの5つのポイントをまとめます。
-
- 丁寧なカウンセリングと問診を行っているか:患者様の状態や希望を十分に把握する姿勢があるか
- 治療費や治療期間の説明が明確か:費用の内訳や治療計画が透明で分かりやすいか
- 口腔内全体を診る総合的な視点があるか:インプラント部分だけでなく、口腔全体の健康を考慮しているか
- 歯科衛生士による専門的なメンテナンスが実施されるか:歯科衛生士が担当性でしっかりとしたメンテナンスが実施されていることが重要
- 専門的な資格や継続的な研修を受けているか:最新の知識と技術を学び続けているか
- 設備や衛生管理が整っているか:安全な手術環境と適切な診断設備が整っているか
インプラント治療は、適切な方法で行えば、長期間にわたって快適に使用できる素晴らしい治療法です。しかし、その成功は担当医の技術や知識、歯科医院の設備とシステム、さらには予後を責任を持って見てくれる担当歯科衛生士にも大きく左右されます。
この記事でご紹介したポイントを参考に、ぜひご自身に合った信頼できる歯科医院を見つけてください。適切な歯科医院との出会いが、あなたの健康な口腔環境と素敵な笑顔につながることを願っています。
当院では、インプラント治療をはじめとする様々な歯科治療に対応しています。少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。間瀬デンタルクリニック
監修医師情報
医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック
院長 間瀬 慎一郎

【経歴】
- 千葉県立木更津高校 卒業
- 日本大学松戸歯学部 卒業
- 日本大学松戸歯学部付属病院 歯科臨床研修 修了
- 医療法人社団翆聖会 パール歯科医院 佐野 勤務
- 間瀬歯科医院 勤務
- 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック設立 理事就任
- 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック 院長就任
【所属】
- 日本歯科医師会会員
- 千葉県歯科医師会会員
- 千葉県保険医協会会員
- 千葉県歯科医師会認定口腔がん検診医
- 君津木更津歯科医師会会員 委嘱富津市医
- 富津市立大貫小学校 学校歯科医
- 学校法人富津学園 明澄幼稚園 園医
- 東京医科歯科大学歯周病科 研修登録医
- 岩手医科大学補綴・インプラント学講座研修生
- 介護認定審査会 委員
【学会・研究会】
- 日本歯周病学会会員
- 日本口腔インプラント学会会員
- 日本顎咬合学会会員
- 日本アンチエイジング歯科学科会員
- 点滴療法研究会会員
- スタディグループJIADSclub研究会会員
【認定資格】
- 厚労省指定 歯科医師臨床研修指導歯科医師
- 日本歯周病学会 認定医
- 日本顎咬合学会 かみ合わせ認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 認定医
- 点滴療法研究会 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
- ガイドデント認定会員
- JAOS 第二種歯科感染管理者
- AHA BLSヘルスケアプロバイダー
- smileTRU 認定医
- 日本糖尿病協会 登録歯科医
【CERTIFICATE・講習会参加履歴】
- JIADS歯周病コース 修了
- JIADSインプラントコース 修了
- JIADS歯内療法コース 修了
- JIADS補綴コース 修了
- ハーバード大学・岩手医科大学合同インプラントコース inボストン 修了
- ハーバード大学・岩手医科大学合同包括歯科医療コース 修了
- ハーバード大学 CE コース for Japan 特別講義
- 目白臨床歯周病研究会 ペリオコース 修了
- Microscopic Dentistry Training course in デンタルみつはし 修了
- アンカースクリュー矯正(インプラント矯正)実習コース 修了
- 一般臨床家矯正基礎実習6カ月コース 修了
- 医療安全管理研修 修了
- 学際企画セミナー 受講多数
- 在宅医療を行う歯科医師等育成研修会 修了
- 第27期SBC(Surgical Basic Course)歯周形成外科コース 修了
- 点滴療法研究会 ベーシックセミナー 受講
- 東京医科歯科大学CDE(歯周病・歯内療法・補綴ほか受講多数)
- 日本歯科医師会 生涯研修事業 修了
- AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース 修了
- AII 骨造成を成功させるためのインプラント外科実習コース 修了
- CDAC よくわかる実践的歯科麻酔学 受講
- What’s New-Updated COVID-19 Guidelines for Dentists: Myth vs. Fact 修了
- 歯周組織再生療法コース エムドゲイン CERTIFICATE
- KENTEC アルファタイトインプラント CERTIFICATE
- Nobel Biocareインプラント CERTIFICATE
- straumannインプラント CERTIFICATE
- シロナ セレック ベーシックコース 修了
- シロナ セレック ステインハンズオンコース 修了
- その他 学会参加・受講セミナー多数