歯周病治療・予防歯科

妥協しない診査・診断
繰り返さないための歯周病治療

口臭や、歯肉が腫れだけが歯周病では
ありません。
口の中だけではなく、全身ともかかわる歯周病の事を知り歯を守りましょう。

住宅建築における 「基礎工事」

歯周治療は当クリニックが最も力を入れている分野です。
立派な住宅も、基礎工事なくしては建てられませんし、仮に建てたとしても地震に耐えられないのではないでしょうか。せっかく家を建てるなら長く住める家がいいですよね。私たちは、安心して長く住めるような家を建てたいのです。
歯科医療においては精密で高品質なかぶせものを選んでも、歯を支える歯槽骨を失ってしまえば長持ちしません。また、せっかく治療を終えても歯磨きが上手にできないような環境であればまた虫歯や歯周病が再発したりしてしまいます。
虫歯や被せものなどの治療に入る前に、歯周病治療が必要不可欠なのです。
当クリニックでは歯科医師による治療の合間に「お掃除」をするのでなく、担当歯科衛生士がしっかりと時間をおとりして歯周基本治療を行っております。

歯周病とはどんな病気?

痛みなく進む気付きにくい病気

CMなどで聞いたことはあるという方が多いと思います。しかし、残念ながら多くの方は正しく認識されていません。
歯周病の多くは痛みを伴わず進行するため、日本人成人のうち非常に多くの方が罹っているにもかかわらず、病状が進行しなければ気づかないことが多いのです。
歯周病は重症化すると歯を支える歯槽骨を溶かし、最終的には歯が抜けてしまう病気です。また、本質的には現状の医学では部分的な再生は可能ですが一度失ってしまった歯槽骨の多くは回復しない。つまり完治することができず、止めることしかできない病気なのです。
症状が悪化する前に、気づく事が治療の第一歩です。

こんな症状はありませんか?

    • ハミガキすると歯茎から出血する
    • 歯茎が赤く腫れている
    • 歯茎から膿が出る
    • 食べ物が歯の間にはさまりやすくなった
    • 昔より歯が長くなったように見える
    • 朝起きた時、口の中がネバネバする
    • 歯がグラグラする
    • 歯が浮いた感じがある
    • 口臭があるとよくいわれる

これは歯周病の症状です。早めの歯科医院の受診をお勧めします。

歯周病に関係する要因

お口に関する原因と要因

プラーク(歯垢) / 歯石 / 虫歯 / 口呼吸 / 歯並び / 嚙み合わせ / 形の合わない被せ物

全身に関する原因と要因

タバコ(喫煙) / ストレス / 免疫力の低下 / 栄養不足 / 糖尿病 / 骨粗鬆症

歯周病治療の流れ

1診査・診断

治療をはじめる前に必要な事

歯周病は痛みなく進行し、非常に気づきにくい病気です。治療をはじめる前に、現状を把握することが不可欠です。

歯周病の原因はプラークだけではありません。虫歯や歯並び、身体状態など多くの要因が関わります。 様々な角度から検査し調べることで、病状や原因の究明をはかります。

歯周組織検査

歯肉の状態を、必要に応じて1歯6点法という精密な検査をしていきます。歯周ポケットの深さは同じ歯でも場所によって異なることがあります。またポケットを触ると出血や膿がでたりすることがあります。これらの有無、歯の揺れや磨き残しについてもチェックします。

口腔内写真(12枚法)

お口の中を写真撮影し、治療前の状態を記録します。治療後の写真と比べることで、どのような治療効果が上がっているのか分かりやすくなります。
治療プランのご説明の際に、ご理解いただくの為の資料としても役立つ可能性があります。
当クリニックではより詳細な記録ができるよう、一般的に行われることが多い5枚法に加え、追加部位の撮影と倍率を変更した上、合計12枚の規格写真を撮影させていただきます。

デジタルレントゲン撮影

レントゲン写真により歯の状態、歯を支える骨の検査を行います。
パノラマX線で全体的な状況を確認し、詳細についてはデンタルレントゲンで局所的に撮影し、被爆を抑えつつレントゲン検査による診査精度を高めています。
歯周病が重度の方は10枚法と呼ばれる全顎の精密レントゲンをお撮りすることもございます。

2カウンセリング

複数の検査結果から現状をお伝えし、歯周治療の計画についてご提案します。
治療を進めるにあたって、わからないこと、不安な事などご相談ください。

カウンセリング

3歯周病 基本治療

1番の原因を取り除くための基本治療

歯茎が腫れる、出血する、口の中がねばつくなど歯周病の1番の原因はプラーク(歯垢)にあります。
プラークは細菌が集合した塊、この中に虫歯菌や歯周病菌が含まれています。口の中の腫れ、ねばつき、口臭の多くは菌による原因になります。

口の中からプラークを取り除き、原因を除去しましょう。

  • TBIブラッシング指導

    • プラークを染め出し、どこが磨けてなくて、残っているのかを確認
    • 歯磨きのコツを習得
    • 適切な清掃用具をご案内します
  • SCスケーリング

    • プラークだけでなく、歯ブラシでは落とせない石灰化した歯石を専用器具で除去
    • ざらついた歯面をつるつるにし、汚れをつきにくくします
  • SRPルートプレーニング

    • 歯と歯肉の間にできた、歯周ポケット内に潜む歯石の除去
    • 細菌により汚染された病的組織の除去
    • 根面をつるつるにし、汚れをつきにくくします

取り除きやすくするための治療

プラークや歯石を取り除くだけが治療ではありません。歯磨きの上達はもちろんですが、磨きにくい環境だとプラークは溜まっていく一方。上手な方でも磨き残しは多くのこり歯周病に戻ってしまいます。

  • 歯磨きをするとしみてしまう
  • 歯並びが悪く、歯が重なっている
  • 被せ物が古く、形があっていない
  • 歯が揺れてしまいうまく磨けない

これらには適切な対応が必要なことがほとんどです。適切な対処をすることで磨きやすい環境を作り、快適な口腔内を手に入れましょう。

4評価と再検査

再び口腔内を調べ、術前と治療後を比較していきます。
ここで病状が回復していればメインテナンスへ移り、回復の経過をみます。

メインテナンス

5歯周外科治療

「歯周基本治療」で治らない重症部位への解決策

歯科衛生士による基本治療で大方の歯茎の症状は消失し、安定することがおおいです。しかし、重症であったり、歯根の又まで感染が及んでいる場合(根分岐部病変)、熟練した術者であっても感染を取り切れないと云われています。

歯周外科手術はこれを打開すべく、歯茎を切開剥離して徹底的な感染の除去を行うもので、歯周外科療法とも呼ばれます。
当クリニックでは健康保険適用の歯周組織再生材料 「リグロス®」 を採用し、特定研修を受けた歯科医師が再生療法を応用し歯周外科手術を実施しております。
かつて、材料代だけで数万円以上もかかっていた再生療法が健保適用となり身近に行えるようになったのです。当クリニックでは患者様負担を軽減すべく基本的な歯周治療は外科治療も含め健康保険の範囲で行っています。
また、高度な審美性を求められる場合や必要と判断した場合には歯肉弁根尖側移動術(APF)、遊離歯肉移植術(FGG)、結合組織移植術(CTG)、歯冠長延長術(クラウンレングスニング)、口腔前庭拡張術などを症例に応じて使い分け、対応いたします。
詳しくは担当医にお尋ねください。

リグロス(保険適用)

双方とも歯槽骨(歯を支えるため骨)の再生を促したり、増加など歯周組織再生に対する治療です。

APF(歯肉弁根尖側移動術)

歯周病に侵された歯肉を除去し歯周病の進行を食い止める治療法です。歯周病菌の棲家である歯周ポケットを浅くすることで、歯周病原菌が繁殖しづらい環境を作ります。
状態にもよりますが、APFを施すことで、抜歯のケースでも抜かずに済ませる可能性があります。

拡大鏡を使用した精密な外科処置

口の中の構造は細かく複雑です。外科治療を行う際には、細かな作業が必要になります。拡大鏡を用いることで、視野が拡大され、歯周病治療の精度も向上します。

6メインテナンス

歯周病は再発しやすい病気

治療を一通り終えると、メインテナンスに移ります。
メインテナンスは歯周病を再発させないため、健康な状態の維持を目的とした定期的な治療のことです。口の中は常にたくさんの細菌がおり、虫歯菌や歯周病菌も含まれています。その為、歯磨きを怠ると細菌が増え、プラークが形成されます。歯周病は戻りやすい「再発しやすい病気」と言えます。
治療が終了した後は、3~6ヶ月ごとの定期検診の受診をお勧めしています。

検査と評価を行い、経過を追う

定期検診(メインテナンス)の際に、空いた3~6ヶ月の期間の変化を確認するため、口腔内検査を行います。
さらに、検査資料以外にも細かな変化に気づけるよう歯科衛生士の担当制を行い、質の高いサポートを目指しています。

定期管理・歯周安定期治療

私たちは完成したお家に永く住んでいただきたいと願っています。
また高級車であっても車検やメンテナンスが必要なように、治療によって得られた健康的な口腔内の環境を保ち続けるためには定期管理が必要です。

治療終了後は担当歯科衛生士が患者様のお口に合わせた定期管理をしていきます。
当クリニックはかかりつけ機能強化型歯科診療所の基準を満たしています。歯周病があった方においては健康保険でもお口の定期管理(歯周安定期治療)を行うことができます。重症度、歯磨きの器用さなども含め患者さま毎に適切な頻度を設定し、再発防止に取り組みます。(概ね1~6カ月程度の間隔となります)

歯周病認定衛生士の存在

歯周病治療について特に優れた能力を持ち、所属組織と学会から認められた衛生士は、「認定衛生士」の資格を与えられます。
その条件は厳しく、臨床経験以外に学会出席や症例提出、試験をパスする必要があります。
当クリニックでは歯科衛生士の資格取得支援にも力を入れており、すでに資格取得衛生士が在籍し、後輩指導にもあたっております。
学会認定資格にご興味のある方、当法人の求人情報についてはこちらもご参照ください

教育ヒストリー

  • 歯科衛生士として5年以上の臨床経験
  • 3年以上歯周病学会に在籍
  • 規定数以上学会に出席したこと ・自分が担当した患者様の術前、術後の症例写真と説明を5例そろえて提出し、審査を受けること

この審査に受かった後、二人の学会専門医、認定衛生士の前でプレゼンテーションを行い、口頭試問に合格した者のみ認定されます。

「担当制」による質の高いサポート

当クリニックには常勤正社員9名(2018年夏季)の歯科衛生士が在籍。患者担当制をとることにより、患者様のすべてのデータを生涯にわたり保存管理しております。蓄積したデータや患者様との長いお付き合いの中で得た情報や変化をもとに、その患者様に適した質の高いご提案・治療をすることが可能となります。

スタッフ紹介

【基本方針】

患者様のご希望やご都合にもよりますが、基本的に当クリニックでは、まだ保存できると診断される歯は治療期間がかかっても保存することを推奨いたします。
歯周病に罹った歯の抜歯は簡単ですし、インプラントがいい治療だとはいっても天然の歯が最高なことは変わりないのです。
セカンドオピニオンも歓迎いたします。抜くしかないと言われお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。もちろんすべてに当てはまるわけではございませんが、抜歯を回避し長期保存できた症例も多く経験しております。

予防について

予防歯科の必要性。歯は削れば削るほど悪くなる??

「虫歯になっても、削って治療をすればよくなる」
このように考えている方は多いのではないでしょうか。
確かに、虫歯の部分を削り取り、硬い金属の詰め物・かぶせ物をすると、何だか以前よりも丈夫になった感じがしますよね。しかし、残念なことに、歯は治療すればするほど悪くなります。
あまり知られていない事ですが、お口の中というのは非常に過酷な環境に置かれています。

熱い食べ物、冷たい飲み物が絶えず入ってきますし、物を噛み砕く際は、歯と歯がはげしくぶつかり合います。この厳しい環境が原因で、「歯」と「詰め物・かぶせ物」の間には目で確認できないほどの小さな隙間がどうしても生じてしまいます。そこから虫歯菌が侵入し、虫歯が再発することになるのです。

そして、一度、治療した歯を再治療する際には、さらに大きく歯を削る必要があります。この再治療のサイクルを繰り返してしまうと、最終的には削る歯もなくなり、抜歯、そしてインプラント・入れ歯・ブリッジの流れをたどることとなってしまいます。
このことを裏付けるデータとして、成人の方の虫歯治療の70~80%は、新たにできた虫歯の治療ではなく、過去に治療した歯の再治療であると言われています。

1度治療した歯は強くなったのではなく、弱くなったという認識が大切です。治療後、虫歯の再発とならないために、予防・メインテナンスの正しい知識を持ち、少しだけこれまでと違う行動をとることが大切となります。

歯磨きだけでは虫歯・歯周病は予防できない?!

「毎日、歯を磨いているのに虫歯・歯周病になるのはどうしてですか?」
患者様からよく聞かれる質問のひとつです。
日本では「歯磨き万能主義」の考え方が幅を利かせているのが原因です。特にTVコマーシャルでは、その歯ブラシや歯磨き粉を使えば、虫歯・歯周病にならないといったイメージを与えています。
しかし、現実はどうでしょうか?
もちろん、毎日の歯磨き習慣は大切なことです。しかしながら、それだけでは虫歯・歯周病の予防ができないのも事実です。

「担当制」による質の高い
サポート

当クリニックでは複数の歯科衛生士が担当制をとることにより、患者様のすべてのデータを生涯にわたり保存管理しております。蓄積したデータや患者様との長いお付き合いの中で得た情報や変化をもとに、その患者様に適した質の高いご提案・治療をすることが可能となります。
歯磨きチェック(指導)をはじめとして、歯周病の再発を防ぐ処置、生活習慣に対するアドバイスやドライマウス、アンチエイジングなど…
また定期的に来院して頂くことにより、お互いにリラックスした状態で診療ができますので、コミュニケーションを楽しみながらお口の健康維持につながればと考えております。

これらが当クリニックの予防におけるシステム・考え方です。

細菌を呼び寄せる、バイオフィルムを取り除く

歯のまわりにはさまざまな細菌が住んでいて、菌同士がからみあってできた細菌の膜のことをバイオフィルムと言います。バイオフィルムは、細菌が分泌するバリアに守られ、歯面などに強力に付着しており、歯ブラシでは取り除くことができません。
また、バイオフィルムは薬が効きません。
異物の侵入を拒否する性質があり、歯磨き粉の薬剤や抗菌剤などの効果が発揮されなくなります。