歯周病治療の期間と費用|症例別完全ガイド2025
ブログ歯周病治療・予防歯科

歯周病は成人の多くが抱える口腔内の疾患です。初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまうことも。
歯周病の治療は、症状の進行度によって期間も費用も大きく異なるため、早期発見・早期治療・そして予防と定期管理が重要です。
この記事では、歯周病治療の期間と費用について症例別に詳しく解説します。また、保険適用の範囲や自費診療との違いについても解説しますので、治療を検討されている方はぜひ参考にしてください。
歯周病治療の基本と流れ

歯周病治療は、症状の進行度合いによって段階的に行われます。
歯周病は、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)に細菌が繁殖し、炎症を起こすことで始まります。この炎症が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶けていき、最終的には歯が抜け落ちてしまう恐ろしい病気です。
歯周病治療の基本的な流れは以下のとおりです。
- 検査・診断:レントゲン撮影や歯周ポケットの深さを測定
- 基本治療(スケーリング・ルートプレーニング):歯石除去と歯根面の清掃
- 再評価:基本治療の効果を確認
- 外科治療:必要に応じて歯周外科手術を実施
- 安定期治療/メインテナンス:定期的な検診と専門的クリーニング
治療の第一歩は、正確な診断から始まります。当院では口腔内写真やレントゲン検査、歯周ポケットの深さ測定など、総合的な検査を行い、患者様の状態を詳しく把握します。
ご自身の口腔内の状態は把握できていますか?
歯周病は自覚症状が少ないため、定期的な検診が何より大切です。当院では患者様一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立て、丁寧に説明した上で治療を進めています。
歯周病の進行度別 治療期間と費用
歯周病の治療期間と費用は、症状の進行度によって大きく異なります。軽度なら短期間で済みますが、重度になると長期的な治療が必要になることも。
歯周病は進行度によって「歯肉炎」「軽度歯周炎」「中等度歯周炎」「重度歯周炎」の4段階に分けられます。それぞれの段階における治療期間と費用の目安を見ていきましょう。
歯肉炎の場合
歯肉炎は歯周病の初期段階で、歯茎に炎症が起きている状態です。この段階では、歯を支える骨には影響が及んでいません。
- 主な症状:歯磨き時の出血、歯茎の腫れや赤み
- 治療内容:歯石除去(スケーリング)、ブラッシング指導
- 治療期間:1~2回の通院(通常約1ヶ月)
- 治療費用:保険適用で3,000~5,000円程度(3割負担の場合)
歯肉炎の段階であれば、適切な歯石除去と日々のブラッシングで比較的短期間で改善することが可能です。この段階で治療を受けることで、より深刻な歯周炎への進行を防ぐことができます。
軽度歯周炎の場合
軽度歯周炎になると、炎症が歯茎だけでなく歯を支える骨にも及び始めます。
- 主な症状:歯茎からの出血、口臭、歯周ポケットが4mm程度
- 治療内容:スケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング指導
- 治療期間:2~3回の通院(通常約1~2ヶ月)
- 治療費用:保険適用で5,000~10,000円程度(3割負担の場合)
軽度歯周炎の段階では、歯石除去に加えて歯根面の清掃(ルートプレーニング)が必要になります。この治療により、歯根面に付着した細菌や汚れを取り除き、歯茎の炎症を抑えることができます。
中等度歯周炎の場合
中等度歯周炎になると、歯を支える骨がさらに失われ、歯がグラつき始めることもあります。
- 主な症状:歯のグラつき、強い口臭、歯周ポケットが5~6mm程度
- 治療内容:スケーリング・ルートプレーニング、場合によっては歯周外科手術
- 治療期間:4~10回の通院(通常約3~6ヶ月)
- 治療費用:保険適用で10,000~20,000円程度(3割負担の場合)、歯周外科手術が必要な場合はさらに費用が加算
中等度歯周炎では、通常の歯石除去だけでは対応できない深い歯周ポケットが形成されていることが多いです。そのため、歯周外科手術が必要になるケースもあります。
重度歯周炎の場合
重度歯周炎は歯周病の最も進行した状態で、歯を支える骨が大幅に失われています。
- 主な症状:明らかな歯のグラつき、膿の排出、歯周ポケットが7mm以上
- 治療内容:歯周外科手術、場合によっては抜歯とインプラントなどの補綴処置
- 治療期間:10回以上の通院(約6ヶ月~1年以上)
- 治療費用:保険適用部分で15,000~30,000円程度(3割負担の場合)、歯周外科手術や補綴処置が必要な場合は数十万円になることも
重度歯周炎では、歯周外科手術が必須となるケースが多く、場合によっては保存が難しい歯は抜歯となることもあります。抜歯後はインプラントやブリッジなどの処置が必要になり、治療費用も高額になります。
当院では、できる限り歯を残すための治療を心がけていますが、あまりに進行した歯周病では、残念ながら抜歯が避けられないケースもあります。早期発見・早期治療が何よりも重要なのはこのためです。
保険診療と自費診療の違い

歯周病治療には保険が適用される「保険診療」と、保険適用外の「自費診療」があります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、患者様の状態や希望に応じて選択することが大切です。
保険診療で受けられる歯周病治療
保険診療では、基本的な歯周病治療がカバーされています。具体的には以下のような治療が保険適用となります。
- 歯石除去(スケーリング)
- ルートプレーニング(歯根面の清掃)
- 基本的な歯周外科手術
- 歯周病の検査・診断
保険診療のメリットは何といっても費用負担が少ないことです。3割負担の場合、軽度から中等度の歯周病であれば、数千円から2万円程度で治療を受けることができます。
一方で、保険診療には以下のような制限があります。
- 使用できる薬剤や材料に制限がある
- 一度の治療で行える範囲が限られている
- 最新の治療法や高度な再生材料などは対象外
例えば、保険診療では一度に治療できる歯の本数に制限があり、複数回に分けて治療を行うことになります。そのため、治療期間が長くなる傾向にあります。
自費診療で受けられる歯周病治療
自費診療では、保険適用外の最新治療や高度な技術を用いた治療を受けることができます。
歯周組織再生療法(エムドゲイン)
高度な歯周外科手術
- 最新の薬剤や材料を使用した治療
自費診療のメリットは、治療の質や快適性が高いことです。例えば、歯周組織再生療法では、失われた歯周組織を再生させることができ、歯の保存率が高まります。また、レーザー治療では痛みが少なく、治療後の回復も早いというメリットがあります。
ただし、自費診療は保険がきかないため、費用は高額になります。歯周組織再生療法は1歯あたり5万円~10万円程度、レーザー治療も1回あたり数万円かかることが一般的です。
当院では、患者様の状態や希望、予算に合わせて、保険診療と自費診療を組み合わせた最適な治療プランをご提案しています。まずはご相談ください。
症例別:実際の治療例と費用
ここでは、当院で実際に行った歯周病治療の症例をいくつかご紹介します。患者様の状態や治療内容、かかった期間と費用について具体的に解説します。
症例1:軽度歯周炎の40代男性
初診時の状態:歯磨き時の出血、口臭が気になるとのことで来院。検査の結果、全体的に4mm程度の歯周ポケットが見られる軽度歯周炎と診断。
治療内容:全顎のスケーリング・ルートプレーニング、ブラッシング指導
治療期間:3回の通院(約2ヶ月)
治療費用:保険診療 約8,000円(3割負担)
結果:治療後は歯茎の出血が止まり、口臭も改善。3ヶ月ごとのメインテナンスを継続中。
症例2:中等度歯周炎の50代女性
初診時の状態:前歯のグラつきが気になるとのことで来院。検査の結果、前歯部を中心に5~6mmの歯周ポケットが見られる中等度歯周炎と診断。
治療内容:全顎のスケーリング・ルートプレーニング、前歯部の歯周外科手術(フラップ手術)、ブラッシング指導
治療期間:6回の通院(約4ヶ月)
治療費用:保険診療 約18,000円(3割負担)
結果:歯のグラつきが改善し、歯周ポケットも3mm程度まで減少。2ヶ月ごとのメインテナンスを継続中。
症例3:重度歯周炎の60代男性
初診時の状態:奥歯が揺れて噛めないとのことで来院。検査の結果、臼歯部を中心に7~8mmの歯周ポケットが見られる重度歯周炎と診断。一部の歯は保存が難しい状態。
治療内容:全顎のスケーリング・ルートプレーニング、臼歯部の歯周外科手術、保存不可能な歯の抜歯とインプラント治療、ブラッシング指導
治療期間:12回の通院(約10ヶ月)
治療費用:保険診療部分 約25,000円(3割負担)、インプラント治療(自費)2本 約90万円
結果:残存歯の状態は安定し、インプラントも問題なく機能。1ヶ月ごとのメインテナンスを継続中。
症例4:歯周組織再生療法を行った50代女性
初診時の状態:前歯の隙間が気になるとのことで来院。検査の結果、前歯部に6~7mmの歯周ポケットと骨の吸収が見られる中等度~重度歯周炎と診断。
治療内容:全顎のスケーリング・ルートプレーニング、前歯部の歯周組織再生療法(エムドゲイン)、ブラッシング指導
治療期間:8回の通院(約6ヶ月)
治療費用:保険診療部分 約20,000円(3割負担)、歯周組織再生療法(自費)2歯 約16万円
結果:骨の再生が見られ、歯周ポケットも3mm程度まで減少。歯の隙間も改善し、審美的にも満足いただけました。3ヶ月ごとのメインテナンスを継続中。
これらの症例からわかるように、歯周病の進行度や治療内容によって、期間も費用も大きく異なります。特に重度の歯周病では、保険診療だけでなく自費診療が必要になるケースも多く、費用が高額になることがあります。
しかし、どの段階であっても、適切な治療とその後の定期的なメインテナンスによって、歯周病の進行を食い止め、お口の健康を維持することが可能です。
歯周病治療後のメインテナンスの重要性
歯周病治療が終わったからといって、そこで終わりではありません。実は、治療後のメインテナンスこそが歯周病管理の最も重要な部分なのです。
歯周病の原因となる細菌は、口腔内に常に存在しています。治療によって一時的に細菌数を減らすことはできても、完全に排除することはできません。そのため、定期的なメインテナンスによって細菌の再増殖を防ぎ、歯周病の再発を予防する必要があります。
メインテナンスの内容と頻度
歯周病治療後のメインテナンスでは、主に以下のような処置が行われます。
- 歯周ポケットの測定(再発の兆候をチェック)
- プロフェッショナルクリーニング(歯石や歯垢の除去)
- 磨き残しの確認・ブラッシング指導の再確認
- 必要に応じたレントゲン撮影
メインテナンスの頻度は、患者様の歯周病の重症度や口腔内の状態によって異なりますが、一般的には以下のような目安があります。
- 軽度歯周炎:3~4ヶ月に1回
- 中等度歯周炎:2~3ヶ月に1回
- 重度歯周炎:1~2ヶ月に1回
当院では、患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なメインテナンス計画を立て、継続的なサポートを行っています。
メインテナンスの費用
歯周病治療後のメインテナンスは、基本的に保険適用となります。残存歯数や状況で変わりますが3割負担の場合、1回あたり約3000円〜4500円程度が目安です。
ただし、長期間メインテナンスを受けていなかった場合や、再発が見られる場合は、再度治療が必要になることもあります。その場合は、治療内容に応じた費用が発生します。
メインテナンスは費用対効果が非常に高い予防医療です。定期的なメインテナンスによって歯周病の再発を防ぐことで、将来的に高額な治療が必要になるリスクを大幅に減らすことができます。
「歯周病治療は一生もの」と言われるように、治療後も継続的なケアが欠かせません。当院では、患者様が無理なく続けられるメインテナンス計画をご提案し、長期的な口腔健康をサポートしています。
まとめ:歯周病治療の成功のために
歯周病治療の期間と費用について、症例別に詳しく解説してきました。最後に、歯周病治療を成功させるためのポイントをまとめます。
- 早期発見・早期治療が重要:歯周病は進行するほど治療が難しく、費用も高額になります。定期的な検診で早期発見を心がけましょう。
- 適切な治療計画の立案:歯周病の進行度に応じた適切な治療計画が必要です。専門医による正確な診断と治療計画が治療成功の鍵となります。
- セルフケアの徹底:歯周病治療の成否は、患者様自身の日々のブラッシングに大きく左右されます。正しいブラッシング方法を身につけ、毎日実践することが大切です。
- 定期的なメインテナンス:治療後も定期的なメインテナンスを受けることで、歯周病の再発を防ぎ、治療の効果を長期間維持することができます。
- 生活習慣の改善:喫煙や糖尿病などは歯周病のリスク因子です。全身の健康管理も歯周病治療の重要な要素となります。
歯周病治療は、歯科医師、歯科衛生士、患者様が協力しながら進めていくものです。当院では、患者様一人ひとりの状態や生活スタイルに合わせた最適な治療プランをご提案し、丁寧な説明と治療を心がけています。
歯周病でお悩みの方、治療費や期間が気になる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。経験豊富な歯科医師と歯科衛生士が、あなたのお口の健康をサポートいたします。
詳しい情報や治療についてのご質問、ご予約は、間瀬デンタルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。
監修医師情報
医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック
院長 間瀬 慎一郎

【経歴】
- 千葉県立木更津高校 卒業
- 日本大学松戸歯学部 卒業
- 日本大学松戸歯学部付属病院 歯科臨床研修 修了
- 医療法人社団翆聖会 パール歯科医院 佐野 勤務
- 間瀬歯科医院 勤務
- 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック設立 理事就任
- 医療法人社団幸陽会 間瀬デンタルクリニック 院長就任
【所属】
- 日本歯科医師会会員
- 千葉県歯科医師会会員
- 千葉県保険医協会会員
- 千葉県歯科医師会認定口腔がん検診医
- 君津木更津歯科医師会会員 委嘱富津市医
- 富津市立大貫小学校 学校歯科医
- 学校法人富津学園 明澄幼稚園 園医
- 東京医科歯科大学歯周病科 研修登録医
- 岩手医科大学補綴・インプラント学講座研修生
- 介護認定審査会 委員
【学会・研究会】
- 日本歯周病学会会員
- 日本口腔インプラント学会会員
- 日本顎咬合学会会員
- 日本アンチエイジング歯科学科会員
- 点滴療法研究会会員
- スタディグループJIADSclub研究会会員
【認定資格】
- 厚労省指定 歯科医師臨床研修指導歯科医師
- 日本歯周病学会 認定医
- 日本顎咬合学会 かみ合わせ認定医
- 日本アンチエイジング歯科学会 認定医
- 点滴療法研究会 高濃度ビタミンC点滴療法認定医
- ガイドデント認定会員
- JAOS 第二種歯科感染管理者
- AHA BLSヘルスケアプロバイダー
- smileTRU 認定医
- 日本糖尿病協会 登録歯科医
【CERTIFICATE・講習会参加履歴】
- JIADS歯周病コース 修了
- JIADSインプラントコース 修了
- JIADS歯内療法コース 修了
- JIADS補綴コース 修了
- ハーバード大学・岩手医科大学合同インプラントコース inボストン 修了
- ハーバード大学・岩手医科大学合同包括歯科医療コース 修了
- ハーバード大学 CE コース for Japan 特別講義
- 目白臨床歯周病研究会 ペリオコース 修了
- Microscopic Dentistry Training course in デンタルみつはし 修了
- アンカースクリュー矯正(インプラント矯正)実習コース 修了
- 一般臨床家矯正基礎実習6カ月コース 修了
- 医療安全管理研修 修了
- 学際企画セミナー 受講多数
- 在宅医療を行う歯科医師等育成研修会 修了
- 第27期SBC(Surgical Basic Course)歯周形成外科コース 修了
- 点滴療法研究会 ベーシックセミナー 受講
- 東京医科歯科大学CDE(歯周病・歯内療法・補綴ほか受講多数)
- 日本歯科医師会 生涯研修事業 修了
- AHA BLSヘルスケアプロバイダーコース 修了
- AII 骨造成を成功させるためのインプラント外科実習コース 修了
- CDAC よくわかる実践的歯科麻酔学 受講
- What’s New-Updated COVID-19 Guidelines for Dentists: Myth vs. Fact 修了
- 歯周組織再生療法コース エムドゲイン CERTIFICATE
- KENTEC アルファタイトインプラント CERTIFICATE
- Nobel Biocareインプラント CERTIFICATE
- straumannインプラント CERTIFICATE
- シロナ セレック ベーシックコース 修了
- シロナ セレック ステインハンズオンコース 修了
- その他 学会参加・受講セミナー多数