歯科医院の歯石除去「スケーリング」はどのくらいの頻度で受けるべき?
歯石を放置するとどんなリスクがある?
ブログ歯周病治療・予防歯科
ここでは歯科医院で行う歯石除去の頻度や種類について解説していきましょう。
歯石を放置したら?
歯石を放置するリスク
歯石そのものは歯や歯ぐきに対して無害ですが、歯石のザラザラした表面に細菌が付着・増殖してトラブルの温床となります。歯石を放置すると、以下のようなリスクや症状を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。
歯ぐきの腫れや出血(歯ぐきの炎症)
歯石の表面に増殖した細菌が歯ぐきに感染すると、炎症を起こして出血や腫れを引き起こします。この状態を放置すると、その炎症は歯ぐきの内側に広がり、歯周病へと発展していきます。
歯ぐきが下がる(歯肉退縮)
歯石の沈着による歯ぐきの腫れ・出血を放置すると、やがて歯周病が進行して歯肉退縮を引き起こします。歯肉退縮で歯ぐきが下がると歯が長く見えたり、冷たいものがしみたりなどの症状があらわれます。
口臭の発生
歯石を放置すると、その周囲に増殖した細菌が食べかすを分解する過程でニオイの原因物質(揮発性硫黄化合物)を産出します。その結果、口臭が強くなるおそれがあります。
そもそも歯石とは?
歯石が付着しやすい場所
歯石は唾液の成分によって形成されるため、唾液の出口である「唾液腺」の付近にできやすいのが特徴です。代表的な場所に「下の前歯の裏側」「上の奥歯の外側」があります。
歯石の種類
歯石には歯ぐきより上にできる「歯肉縁上歯石」と、歯ぐきより下にできる「歯肉縁下歯石」の2種類あります。歯肉縁上歯石は肉眼でも確認でき、黄白色で比較的軟らかく、除去も簡単です。これに対し、歯肉縁下歯石は歯と歯ぐきの間にある「歯周ポケット」という溝の中に形成されるため肉眼で確認することはできません。色は赤褐色~暗褐色で非常に硬く、簡単には除去できないのが特徴です。
歯石取りの適切なタイミング
歯石は歯ブラシで取り除けない
適切な歯石取りの頻度
歯石除去の適切な頻度は、3~6か月に1回です。これは歯科定期検診の頻度と同じであることから、通常は歯科定期検診にあわせて歯石除去を行うことが多くなります。ただ、歯石の付き方や形成速度は個人差が大きく、なかには1~2か月の頻度で除去が必要な方もいらっしゃいます。とくに、過去に歯周病の治療を受けて病状が安定している方は、1~2か月に1回のペースで歯石除去を行い、再発を予防することが重要です。
歯石取りは歯科医院で行うべき?
自己流での歯石除去はNG
歯石は一度歯の表面に沈着すると歯ブラシでの除去が難しく、歯科医院での専門クリーニングが必要です。市販のデンタルグッズのなかには自分で歯石を除去するスケーラーも販売されていますが、自己流の除去は非常に危険で、歯や歯ぐきを傷つけるおそれがあります。したがって、歯石除去は必ず歯科医院で施術を受けるようにしてください。
歯科医院の歯石除去の方法
歯科医院で行う歯石除去には「スケーリング」と「SRP」の2つの方法があります。
スケーリング
スケーリングは一般的に行われる歯石除去で、超音波スケーラーを使って歯ぐきより上に付着した歯石(歯肉縁上歯石)を落としていきます。歯石の量が少ない場合は1回の来院で除去できますが、付着量が多い場合は2~3回に分けて除去していきます。
SRP(スケーリング・ルートプレーニング)
SRPは歯ぐきより下に付着した歯石(歯肉縁下歯石)を除去するもので、超音波チップや手用のスケーラーを用いて1本ずつ歯石を除去します。歯周ポケット内の歯石は肉眼で直接見えないほか、付着している歯石は非常に硬いため、1回でたくさんの歯石を除去することはできません。基本的に1回の来院で除去できるのは4~6本なので、すべての歯石を取り除くのに4~6回ほど来院が必要になります。
まとめ
歯に付着する汚れのうち、プラークが唾液の成分で硬くなった「歯石」は歯ブラシで除去することができません。歯石を放置すると歯ぐきの炎症から歯周病を発症してしまうほか、口臭を強くする原因にもなります。したがって、定期的に歯科医院で除去してもらうことが理想的です。毎日のセルフケアにくわえ、定期的な歯科医院のクリーニング(プロフェッショナルケア)を継続しながらお口の健康を守っていきましょう。