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矯正で治せる?歯の機能を損なう八重歯の治療とは?

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そもそも八重歯とは

八重歯とは歯のガタガタがある歯並び(叢生・乱杭歯)において、犬歯が飛び出すような状態にある歯を言います。笑うと犬歯が牙のように見える八重歯は鬼歯とも呼ばれ、日本においては可愛らしいチャームポイントという風潮があります。しかし、矯正歯科の観点から見た八重歯は不正咬合とされ、海外では文化の違いから八重歯そのものを好ましく思わないことが多いようです。八重歯の矯正治療では、顎の大きさなどによって抜歯の必要性が変わりますが、骨癒着などのケースを除き重要な役割を担う犬歯を抜歯することはほとんどありません。

八重歯の原因について

顎が小さい

現代では八重歯の原因のほとんどが、顎が小さいことに起因しています。元々欧米人と比べて顎が小さい傾向にある日本人ですが、近年では軟食文化の普及によって顎が十分に発達しないケースが増えています。
2人用ベンチに5人が座ろうとしたらどうなるでしょうか?無理に座ることで誰かが飛び出たり、傾いた体勢になったりしますよね。顎が小さいことで起こる八重歯はこの現象と同じです。歯の並ぶスペースが十分にないことで歯の叢生が起こり、生えてくるのが遅い犬歯が飛び出た八重歯となってしまうのです。

乳歯の早期喪失・長期残存

乳歯が早くに抜けてしまったり、ずっと抜けずに残ったりすることでも、叢生による八重歯が起こります。乳歯を早くに無くすと、そのスペースに隣の歯が倒れて永久歯が正常に生えず、逆に乳歯が抜けずに残っていることで、永久歯が不正な位置から生えてしまうことが原因です。
この2つは、抜けた場所のスペースを器具で保持したり、抜けない乳歯を抜歯したりと、どちらも歯科医院の正しい介入により予防することができます。

歯の大きさや過剰歯

歯が大きいと、その分歯を並べたときにスペースが不足してしまうことがあります。また、通常よりも歯の数が多い「過剰歯」は上の歯に起こることが多いため、発症した場合には歯の多さから八重歯を引き起こすことも珍しくありません。

八重歯による悪影響とは

唇の裂傷や口唇閉鎖不全

正常な歯並びでは、他の歯と同じように犬歯を使うことで摩耗し、先端が少し丸みを帯びた形になります。しかし、八重歯はその位置から他の歯と接触することもなく、常に鋭利な状態です。唇側に位置していることに加え、先端が尖っていることで、上の唇に引っかかったり、下の唇に刺さったりすることがあります。
また、飛び出た八重歯によって唇を閉じることができないケースでは、口呼吸や口腔乾燥を引き起こし、虫歯や口臭のリスクが高まる点も悪影響の1つです。

虫歯・歯周病のリスク

八重歯は隣の歯と重なり合うように生えています。このような状態だと歯磨きで汚れを取り除きにくくなり、細菌の塊であるプラークが停滞しやすくなります。停滞したプラークは、やがて歯周病や虫歯を招き、周囲の歯にも大きなダメージを与えてしまうのです。

かみ合わせの異常

八重歯がある場合、叢生によってかみ合わせの異常が同時に起こっている可能性が高くなります。自分では奥歯で噛めていると思っていても、検査・診断においてきちんと奥歯が噛み合っていなかったというケースも少なくありません。

奥歯への負担増加

犬歯は他の歯に比べて長い歯ですが、根っこもその分長いことをご存知ですか?これは、ものを噛みちぎるためだけではなく、「犬歯誘導」と呼ばれる重要な機能を担うためです。犬歯誘導は歯ぎしりのように顎を左右にずらしたとき、上の犬歯と下の犬歯のみが噛み合うことで、奥歯に隙間ができた噛み合わせのことを言います。つまり、横方向の力に弱い奥歯へ歯ぎしりのような横の力が加わったときに犬歯のみが噛み合うことで、奥歯を守るための特性なのです。
上記のことから分かるように、八重歯のある状態ではこの犬歯誘導が機能しないため、歯ぎしりなど顎の左右の動きにおいて、奥の歯に大きな負担がかかることになってしまいます。

八重歯の治療法について

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、古くから使用されてきたブラケットという装置を歯に固定し、そこに通すワイヤーの力によって歯を動かす治療です。ワイヤー矯正には表側に装置をつける表側矯正と、裏側に装置をつける裏側矯正があり、八重歯をはじめ、ほとんどの歯並びに対応しています。
ブラケットに通したワイヤーやゴムは3週間ほどで動的な力を持たなくなるため、基本的には1か月に1回の通院が必要不可欠です。最近では、透明なブラケットや白いワイヤーによって、審美的なデメリットも軽減されてきました。

ワイヤー矯正のポイント
  • 適応範囲が広く、確実な治療方法である
  • 治療短縮にも効果のある矯正用のアンカースクリューが使用できる
  • ワイヤー交換時に痛みがある
  • 歯磨きなどのセルフケアが難しい

マウスピース矯正

マウスピース矯正は透明なマウスピースを使った、取り外し可能な比較的新しい矯正治療です。1〜2週間ごとに形の異なるマウスピースを順番に交換することで、パラパラ漫画のように歯並びのゴールまで歯を動かしていきます。
目立たず、取り外しが可能な革新的な矯正装置ですが、1日20〜22時間の装着が必要であるため、自己管理ができなければ治療が難しいという特徴があります。
また、八重歯を含め適応できる歯並びが担当ドクターによって異なるため、抜歯が適応される歯並びや難症例ではマウスピース矯正ができないこともあります。
ただ、矯正中でも食事の制限がなかったり、通院回数が少なくて済んだりなどマウスピースならではのメリットもさまざまです。

マウスピース矯正のポイント
  • 装着中も目立たず、取り外しができる
  • 治療中の痛みが少ない
  • 歯並びによっては適応が難しい
  • マウスピースの交換や着脱など自己管理が必要

まとめ

日本では審美的な面で特別悪い印象を持たない八重歯ですが、磨きにくさや機能面から、矯正治療では積極的な治療対象となる歯並びです。八重歯は可愛らしいイメージをもつ反面、犬歯の機能を損なう、虫歯のリスクが高まるなどのデメリットも持ち合わせています。
八重歯は矯正治療で治すことができるため、審美的・機能的に気になるという方は、1度矯正治療のカウンセリングをおすすめいたします。

当院では乳歯列の段階から八重歯、歯列不正の可能性がある方や、永久歯列期での歯列不正がある方は矯正のご案内をしています。また、矯正希望がなく八重歯の方だったり歯列不正の方には歯科衛生士が患者様一人一人に合わせてケアや歯磨きのコツ、歯ブラシの紹介などをさせていただいております。

部分矯正、全顎矯正、マウスピース矯正を当院では行っているので、矯正にご興味ある方はいつでもご相談お待ちしております。