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その口臭、乾燥が原因かも?押さえておきたいドライマウスのリスクと対策

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ドライマウス(口腔乾燥症)とは?

「朝起きたら口の中が乾燥していた」そのような経験のある方は多いのではないでしょうか?これは、就寝中に唾液の分泌が減少する生理現象が原因で起こる一時的な乾燥ですが、睡眠時以外にも唾液分泌量が少ないことで、常にお口が乾燥してしまうのがドライマウス(口腔乾燥症)です。
唾液は1日に1.0〜1.5L分泌されますが、分泌量には個人差があり、例えば噛む力が強い人は唾液腺が大きく、その分唾液の分泌量も多いとされています。通常高齢者に多い症状ですが、若い方でも様々な理由によってドライマウスになることがあります。

ドライマウスで見られる症状

唾液は「話す」「食べる」「飲み込む」など、私たちの日常生活において必要不可欠な機能を支えていますが、ドライマウスになるとこのような機能がうまく働かなくなってしまうことがあるのです。ドライマウスによって引き起こされる症状としては、以下のようなものが見られます。

  • 発音がしにくい
  • セルフケアをしているのに口臭が気になる
  • 頻繁に口や喉が乾く
  • 口の中がよくねばつく
  • 舌がヒリヒリする、痛む
  • 乾燥している食べ物が飲み込みにくい
  • 虫歯や歯周病を繰り返す
  • 口の粘膜に炎症や潰瘍が見られる
  • 味がわかりにくい、何を食べても美味しくない
  • 就寝中に口の渇きで起きてしまう

ドライマウスを引き起こす唾液分泌量の低下の原因

加齢によるもの

80歳になると唾液の分泌量は若者の2分の1になるとも言われている通り、ドライマウスの原因に多いのが加齢です。唾液には「サラサラの唾液」と「ネバネバの唾液」の2種類があり、高齢になると前者のサラサラの唾液が出にくくなるため、口の中がネバつき、乾燥しやすくなるのです。

治療や薬の副作用

ドライマウスの原因の1つに、唾液分泌に影響を与える抗コリン剤や抗精神剤の副作用によるものがあります。
また、ガンの放射線治療で放射線照射部位に唾液腺が含まれていたことが原因で、治療後にドライマウスを発症したケースもあるようです。

ストレス

緊張時に口が乾くのと同じように、過度なストレスが続き交感神経が優位になることで、唾液の分泌量が低下してドライマウスになることも少なくありません。

全身疾患

難病のシェーグレン症候群をはじめ、高血圧や糖尿病、鉄欠乏性貧血や腎臓の機能不全などによっても口の乾燥を引き起こすことがあります。

口呼吸・開口の常態化

睡眠時や日中に口呼吸が癖になっていたり、歯並びによって口が閉じられず口の中が乾きやすくなっていたりする方にも、ドライマウスの症状が見られる場合があります。

ドライマウスによって引き起こされる病気とは

口臭

口の中には多くの細菌が存在していることをご存知でしょうか?通常は唾液の働きによってこれら細菌の活動は抑制されていますが、唾液の減少によって細菌が繁殖してしまい、歯磨きをしていても口臭が生じてしまいます。

味覚障害

ドライマウスにより、味が薄く感じたり味がわかりにくくなったりする味覚障害が起こることがあります。口の中が乾くと、味を感じる味蕾(みらい)が存在する舌も乾燥して「舌痛症」が起こり、味蕾に関わる神経障害が生じます。結果として、味覚に異常をきたす味覚障害につながってしまうのです。

口腔ガンジダ症

口腔ガンジダ症は、舌や頬の粘膜、歯ぐきなどに白斑がみられる病気です。ドライマウスによって唾液の減少が起こると、お口の中は中性から酸性に傾き、ガンジダが発育しやすい環境になります。また、乾燥によってお口の粘膜に傷ができやすくなることからも、口腔ガンジダ症が起こりやすいとされています。

虫歯や歯周病

唾液の減少によって口が乾くと細菌の増殖が起こり、通常唾液がもつ自浄作用が働かないドライマウスは、虫歯や歯周病を増悪させる原因にもなってしまいます。

代表的な歯科的治療方法

歯科医院では主に、ドライマウスによって生じた症状を改善する対症療法や予防処置を行います。

虫歯・歯周病の予防処置

ドライマウスは唾液の少なさから、細菌が繁殖しやすく虫歯や歯周病のリスクが高まります。そのため、専門的なクリーニングや細菌の活動を抑制するフッ素の塗布など、定期的な予防処置が効果的です。

歯列矯正治療

特に上の前歯が大きく出ている場合、唇を閉じることができないことからドライマウスが起こってしまうことがあります。このような場合には、歯列矯正による歯並びの矯正治療が有効です。また、歯並びが正常でも、口呼吸の癖がある場合には口周りの筋肉が衰えていることが多いため、「MFT」と呼ばれる口腔筋の機能を向上させるためのトレーニングを行うこともあります。

入れ歯の調整

入れ歯を使用している方は、入れ歯のかみ合わせを調整することによってお口の中の乾燥感が減少することがあります。入れ歯の調整もドライマウス治療の重要なアプローチの1つとなります。

ドライマウスのセルフケア

よく噛む癖をつける

唾液を分泌させる1番簡単な方法は、よく噛んで食べることです。噛むことで唾液の分泌が促されるという点から、脱灰が起こらないキシリトール100%のガムを1日に3〜5回噛むこともおすすめです。

鼻呼吸を心がける

お口の乾燥を招く口呼吸の癖がついている方は、唇を閉じて鼻で呼吸する習慣をつけましょう。鼻詰まり等で鼻呼吸が難しい場合には、耳鼻科の受診をおすすめいたします。

唾液線のマッサージや舌の運動をする

口腔内に存在する耳下腺、顎下腺、舌下線の3つの唾液腺をマッサージで刺激する事でも、唾液の分泌を促進させることができます。また、舌や唇を大きく動かす運動も、唾液の分泌機能を高める効果があるとされています。当院では実際に、ドライマウスの患者様へ唾液分泌を促すためのお口の中のマッサージや、ご自宅でできる唾液腺マッサージなどを行って

 

保湿タイプの洗口液を使用する

洗口液は爽快感のあるものだけでなく、お口の乾燥を和らげるための保湿効果の高い洗口液も存在します。乾燥状態を軽減できるこのような製品の使用も、ドライマウスのケアには有効です。

適切な水分補給

一時的な急性のドライマウスには、水分補給が効果的です。しかし、慢性化したドライマウスは水分が吸収されにくく、夜間頻尿による睡眠障害につながることもあるため、過剰摂取は禁物です。もちろん、適切な水分は必要ですので、飲み過ぎに注意してこまめに水分を補給しましょう。