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歯周病重度でも諦めない!再生療法の種類と治療の流れを専門医が解説

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重度の歯周病でも歯を残せる可能性

「歯周病が進行して、歯を抜くしかないと言われた……」

そんな診断を受けたとき、多くの患者様は大きなショックを受けられるかと思います。しかし、近年の歯科医療の進歩により、**歯周組織再生療法**という治療法が確立され、重度の歯周病でも歯を残せる可能性が広がっています。

歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきなどの歯周組織が破壊される病気です。進行すると歯がグラグラと揺れ始め、最終的には抜け落ちてしまいます。従来の治療では、失われた組織を元に戻すことはできませんでした。

しかし、歯周組織再生療法では、特殊な薬剤や材料を使用することで、破壊された歯周組織の再生を促すことができます。この治療法により、抜歯を回避できるケースが増えているのです。

歯周組織再生療法とは?

歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた歯ぐき、セメント質、歯根膜、歯槽骨などの**歯周組織を再生させる**ことを目的とした治療法です。

歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。この骨が溶けた部分に特殊な薬剤を投与し、組織の再生を促すのが歯周組織再生療法の基本的な考え方です。

歯周組織再生療法の仕組みを示す歯科治療イメージ

再生療法が適応となる条件

すべての歯周病に対して再生療法が適用できるわけではありません。一般的に、以下のような条件を満たす場合に適応となります。

  • 歯周ポケットの深さが6mm以上ある
  • 骨の欠損幅が2mm以上ある
  • 垂直的に骨の一部分が溶けている状態
  • 口腔衛生状態が良好に保てる
  • 禁煙できる、または非喫煙者である

水平的に歯の全周の骨が溶けているケースでは、薬剤が流れ出てしまうリスクがあるため、治療の適応が難しいと判断されることがほとんどです。また、高血圧や糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方は、主治医の許可が必要です。

再生療法の成功率を高めるポイント

歯周組織再生療法の成功率は、骨の吸収が軽度であるほど高くなります。

そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。また、治療後の口腔衛生管理も成功の鍵を握ります。喫煙は傷口の治りを悪くし、組織再生を阻害するため、禁煙が強く推奨されます。

歯周組織再生療法の主な種類と特徴

歯周組織再生療法には、いくつかの種類があります。それぞれに特徴があり、口腔内の状態に応じて最適な方法を選択します。

GTR法(組織再生誘導法)

GTR法は、人工骨と特殊なメンブレン(膜)を使用して、失われた歯周組織を再生させる治療法です。

まず歯周ポケット内の汚れを徹底的に除去し、人工骨を詰めます。その上からメンブレンで覆い、歯周組織の再生を待ちます。メンブレンには吸収性と非吸収性があり、非吸収性の場合は一定期間後に取り外す処置が必要です。

GTR法のメリットは、広い範囲の再生を促すことができる点と、保険適用となるため費用負担が軽減される点です。ほかの治療法では難しい状態でも、治療できる可能性があります。長く行われている術式ですが、手技的に膜の保持が難しく、臨床で実際に行っている歯科医院・歯科医師は限られます。

エムドゲイン法

エムドゲイン法は、エムドゲインという特殊なタンパク質を使用して歯周組織再生を促す治療法です。

エムドゲインの主成分は、エナメルマトリックスデリバティブというタンパク質で、豚の歯胚組織から作られています。厚生労働省で認可されている安全性の高い加熱製剤です。

治療の流れとしては、まず歯根部分のクリーニングを行い、その後、歯槽骨が溶けてしまった部分にエムドゲインを塗布します。塗布されたエムドゲインゲルは2〜4週間とどまった後、自然に吸収されます。

エムドゲイン法のメリットは、外科手術が一回で済むため患者様の負担が少ない点です。ただし、保険適用ではなく自由診療のため、費用負担が大きいというデメリットがあります。

リグロス(トラフェルミン使用法)

リグロスは、細胞成長因子を利用した歯周組織再生療法です。

トラフェルミンは細胞の活性化を促す作用があり、患部に塗布することで歯肉や骨の再生を助けます。治療の流れは、エムドゲイン法と基本的に同様で、歯根部分のクリーニングを行った後にトラフェルミンを塗り込み、再生を待ちます。

リグロスのメリットは、エムドゲイン法と同様に外科手術が一度で済む点と、保険適用である点です。デメリットとしては、適応できる症例が限られることや、変化を実感できるまでの期間が長いことなどが挙げられます。

その他の再生材料

上記以外にも、バイオオス(骨移植材料)、バイオガイド(吸収性コラーゲン膜)、サイトランスグラニュール(炭酸アパタイト骨移植材)などの材料があります。

これらは骨欠損部位に応用することで、骨再生の促進が期待されます。患者様の状態や欠損の形態に応じて、最適な材料を選択します。

歯周組織再生療法までの治療の流れ

実際の治療はどのように進むのでしょうか?

歯周組織再生療法の一般的な流れをステップごとに解説します。

ステップ1:診査・診断と治療計画の立案

まず、歯周病の状態と骨の状態を詳しく確認します。歯周ポケットの深さを測定し、レントゲン写真やCT写真を撮影して、骨の欠損状態を三次元的に把握します。

再生療法が適応となるかどうかを判断し、適応と判断された場合は、使用する薬剤や手術方法、費用などについて詳しくご説明します。患者様が治療内容に同意されたら、治療を開始します。

ステップ2:歯周基本治療の実施

再生療法を行う前に、必ず歯周基本治療を行います。

これは、歯周病の原因であるプラークや歯石を徹底的に除去し、口腔内を清潔な状態にするための治療です。患者様の毎日のセルフケアも重要です。

この段階で歯周病の症状が改善し、病態が安定することもあります。しかし、深い歯周ポケットや複雑な骨欠損が残存する場合は、次のステップに進みます。

ステップ3:外科手術の実施

局所麻酔を行い、歯ぐきを切開します。麻酔をするため、術中に痛みを感じることはありません。

歯ぐきを剥離して骨面を露出させ、歯の表面に付着したプラークや歯石、炎症性の組織を徹底的に除去します。この時、骨が溶けてなくなっている状態を直接確認します。

歯の表面を滅菌生理食塩液で洗浄し、清潔にした後、骨欠損部分に組織誘導薬剤を注入します。使用する薬剤は、患者様の状態や欠損の形態に応じて選択します。

薬剤の注入が完了したら、歯ぐきを元に戻して縫合します。手術時間は約1時間30分から2時間程度です。

ステップ4:術後の管理と経過観察

手術後、抜糸までは約1〜2週間かかります。

麻酔の効果が切れると痛みを感じる方が多いですが、基本的に痛み止めが処方されますので、我慢せずに服用してください。術後は患部の確認やケアを月1〜2回の頻度で行います。

歯周組織は半年から1年ほどかけてゆっくりと再生します。この間、口腔内を清潔に保つことが非常に重要です。歯科医師の指示に従って、適切なブラッシングと歯科医院でのメインテナンスを続けましょう。

ステップ5:再評価と長期メンテナンス

手術後6か月ほど経過したら、歯周組織の再検査および再評価を行います。

レントゲン写真やCT写真で骨の再生状態を確認し、歯周ポケットの深さを再度測定します。良好な結果が得られた場合でも、病変が残存した場合は、追加的な治療が必要になることがあります。

再生療法の成功後も、定期的なメンテナンスが欠かせません。担当歯科衛生士によるメンテナンスで、再発を防ぐ長期管理を行います。

歯周組織再生療法にかかる費用について

歯周組織再生療法は外科的な手術となるため、ある程度の費用がかかります。ただし、使用する薬剤や手術方法によって、保険適用になるケースと自由診療になるケースがあります。

保険適用の治療法

**GTR法**と**リグロス(トラフェルミン使用法)**は、保険適用です。

3割負担の場合、一本の歯あたり5,000円から10,000円ほどが目安です。ただし、歯周病の進行度合いや同時に行う処置などによって費用は変動します。

また、歯周病の場合は歯一本のみではなく、複数の歯に症状が出ていることが多いため、本数に応じて費用がかかる点も覚えておきましょう。

自由診療の治療法

**エムドゲイン法**は、自由診療となります。

歯科医院によって費用は異なりますが、目安としては一本の歯あたり50,000円から100,000円ほどです。保険適用の治療法と比較すると費用負担は大きくなりますが、外科手術が一回で済むというメリットがあります。

詳細な費用については、当院までお気軽にご相談ください。患者様のご希望に応じて、最適な治療プランをご提案いたします。

再生療法を成功させるために患者様にお願いしたいこと

歯周組織再生療法の成功は、歯科医師の技術だけでなく、患者様のご協力によっても大きく左右されます。

徹底した口腔衛生管理

治療前も治療後も、口腔内を清潔に保つことが最も重要です。

プラークや歯石が残っていると、十分な治療効果が得られません。歯科衛生士の指導に従って、正しいブラッシング方法を身につけましょう。デンタルフロスや歯間ブラシなども使用するとより効果的です。

禁煙の重要性

喫煙は、傷口の治りを悪くし、歯周組織の再生を阻害します。

再生療法を受ける場合は、可能な限り禁煙することをお勧めします。禁煙が難しい場合でも、少なくとも治療前後の一定期間は禁煙するようにしましょう。

定期的なメンテナンスの継続

治療が成功した後も、定期的なメンテナンスが欠かせません。

当院では、歯科衛生士の担当制メンテナンスを行っています。患者様一人ひとりの状態に応じて、最適なケアプランを提供し、再発を防ぐ長期管理に力を入れています。

まとめ:重度の歯周病でも希望を持って治療に臨みましょう

歯周組織再生療法は、重度の歯周病でも歯を残せる可能性を広げる画期的な治療法です。

GTR法、エムドゲイン法、リグロスなど、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。患者様の状態や希望に応じて、最適な治療法を選択することが重要です。

治療の成功には、早期発見・早期治療、徹底した口腔衛生管理、禁煙、そして定期的なメンテナンスが欠かせません。

当院では、日本歯周病学会指導医、専門医、認定医や認定衛生士が在籍し、重症例にも対応しています。他院で「抜歯しかない」と言われた方でも、諦めずに一度ご相談ください。患者様一人ひとりの背景やご希望に応じた最善の解決策を追求し、一緒にゴールを目指します。

歯周病でお悩みの方、歯を残したいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。詳細はこちらからご確認いただけます。

歯周病 インプラント 間瀬デンタル

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