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歯科検診で「歯石がある」と言われたら知っておくべきこと

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歯石はただ見た目が悪くなるだけでなく、虫歯や歯周病などの原因にもなる存在です。いつもきちんと歯を磨いているのに、「歯石がある」「歯石ができやすい」などと言われた経験があるという方も多いのではないでしょうか?今回はそんな気が付いたらできている、歯石の成り立ちや予防法についてお話していきたいと思います。

どうして歯石ができてしまうのか?

そもそも歯石とは、古くなったプラーク(歯垢)が、唾液中のカルシウムと結合し石灰化することでできる沈着物です。この古くなったプラークとは、主に磨き残しによって歯に長時間停滞したプラークのことです。

プラークは「バイオフィルム」と呼ばれる細菌の集合体であり、身近なものでは浴槽に発生するぬめりもその一つです。浴槽のぬめりは洗い落として水を除けば、乾燥して勝手に細菌が増殖することはありませんが、常に数百種もの細菌が存在している湿潤したお口の中ではそうはいきません。そのため、例え一度歯石を除去したとしても、細菌たちは隙を狙ってプラークを形成し、時間と共に歯石となって歯に再付着してしまうのです。

歯石ができるまでの期間

歯石の始まりとなるのは、先ほどお話した通り細菌の塊であるプラークです。そしてこのプラークは、磨き残した食べかすに細菌が付着、増殖することで、食後から約8〜24時間で形成されます。

こうしてできたプラークはおよそ2日ほどで石灰化が始まり、そこから約15日の間に歯石になるとされています。つまり、個人差はあるものの、早い場合は磨き残しから約2週間ほどで歯石ができてしまうのです。

どのくらいの間隔で歯石を取るとよいのか?

歯石は歯磨きなどのセルフケアで除去することができないため、歯科医院での除去が必要になります。では、どのくらいの間隔で歯石除去を受けるとよいのか?というと、歯石のできやすさやリスクなどによっても変わりますが、約1〜3か月が理想的です。

例えば、ひどく歯石のつきやすい方や、歯周病の治療が終わったばかりの方などは1か月に1回、定期検診の頻度でもよい方は3か月に1回と、虫歯や歯周病のチェックと一緒に歯石除去を受けるのがおすすめです。歯石除去の頻度については、口腔環境やリスクなどを把握している、かかりつけの歯科医院とよく相談して決めましょう。

歯科医院での歯石除去(SRP)について

「自分は丁寧に歯を磨いてるし、確認しても歯石は全くついてないから大丈夫」そう確信するのは、少し早いかもしれません。皆さんが想像する白い歯石ではなく、黒い歯石ができる場所があることをご存知でしょうか?この黒い歯石は「縁下歯石」と言い、歯ぐきの中に形成されます。白い歯石よりも除去が難しい上に、目視での確認ができず、レントゲンや歯ぐきの中を器具で触診する検査をしなければ、はっきりと確認することができません。

縁下歯石は強固に付着している上に、レントゲン写真を確認しつつ触覚を頼りにして除去するため、広範囲に付着しているケースでは複数回に分けることがほとんどです。こういった歯ぐきの内部にある歯石取りを「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」と言い、歯石だけでなく歯ぐきの中に存在するプラークなども一緒に取り除くことを目的としています。歯ぐきの中(歯周ポケット)に存在する歯石やプラークは、歯周病の進行に大きく関わるため、例え時間がかかっても丁寧に除去しなければなりません。

歯石予防のためにできること

これまでのお話で分かる通り、歯石はプラークが石灰化したものです。つまり、根源であるプラークをなるべく停滞させないように歯磨きをしっかりとすることが、歯石予防のためにできる1番の方法となります。

しかし、表面はきれいに磨くことのできる歯ブラシでも、歯と歯の間ではどれだけ丁寧に磨いても、実は約6割ほどしかプラークが除去できないとされています。では、プラークの除去率をどうあげれば良いかというと、フロスや歯間ブラシなど補助道具の使用が重要になってきます。歯ブラシの後にフロスや歯間ブラシを使用して、きれいに磨いたはずの歯から取れるプラークの量の多さに驚いた方も多いのではないでしょうか?このようにフロスや歯間ブラシを併用することで、約9割のプラークを除去できるといわれています。

まとめ

歯石は年齢も国籍も関係なく、プラークが石灰化したら約2週間足らずでできてしまう沈着物です。さらに厄介なことに、歯ぐきの中に身を潜め、歯周病を密かに進行させていることも少なくありません。

歯石自体は直接歯に害を与えることはありませんが、プラークの温床になり虫歯や歯周病に繋がる可能性があります。歯科医院での歯石除去や、フロスや歯間ブラシを併用して行う丁寧なセルフケアで、できる限り歯石ができないよう予防することが望ましいでしょう。また、歯科医院での指導を踏まえ、セルフケアのためにご自身でも歯石の出来やすい場所を把握することも重要です。こうして歯石を予防することはプラークの停滞を予防することであり、プラークの予防は結果的に虫歯や歯周病の予防にも繋がります。

しかし、歯科医院での定期的な検診で受けるプロフェッショナルケアと、毎日の徹底したセルフケア、このどちらか一方が完璧でも、片方のケアが欠けてしまうと予防効果は一気に下がってしまいます。そのため、歯科医院と自宅2つの歯石ケアを両立させ、美しく健康的なお口を維持していきましょう。